2016年4月23日土曜日

キーボードを叩き壊そうと思ったときに思い出す話(上)

途上国に駐在していると、日本と勝手が違って瞬間湯沸かし器のように腹が立つことがあります。駐在期間が長くなるにつれ、少しずつ怒りをコントロールする技術が身についてきたように思います。怒りの波が押し寄せてきたときに、気持ちを落ち着かせるためにごりらがいつも思い出すエピソードが二つあります。


一つ目は、何かで読んだ記憶があるのですが、出典を忘れてしまいました。インターネットで調べてもでてきませんでしたし、むしろネットには下記に書いたこととは別のことが書いてありました。ごりらが創作したアンガーマネジメント・ストリーとして楽しんでいただければ幸いです。


第二次世界大戦の中盤、連合国側の科学者たちが、ある兵器を作るために召集されました。期限は1年間で、メンバーは連合軍から集まった多国籍の精鋭6名です。連合軍が全面的にバックアップする大きなプロジェクトでしたので、メンバーとして呼ばれた科学者たちは意気揚々と集合しました。


最初のキックオフミーティングで、リーダーの科学者はこう言いました。


「みなさんよく来てくれました。大統領には、各分野で一番優秀な人を送るようにお願いしていました。私は、あなたたちを歓迎します。どうか、一刻も早く戦争を終わらせ、世界に平和をもたらすように研究を進めようではありませんか。さて、皆さんの最初の仕事ですが、6ヶ月の間、一切の研究活動をしないことです」


そこに集まった全員が、拍子抜けしました。そうですよね。自分たちは連合国を勝利に導くために集まったのに、任期の半分を何もしないなんて。リーダーに対して疑いの目が向けられましたが、集まった彼らは、リーダーの指示に従うことという命令を赴任している国からもらっていたため、しぶしぶ従うことにしました。


そして実際に半年間、彼らは本当に兵器の開発はもちろん、一切の研究をしませんでした。代わりに行ったのは、共同生活でした。一緒に必ずご飯を食べ、眠る部屋も一緒でした。日中は一緒にゲームをしたそうです。


ときおり、政治家が様子を見に来ることもありました。一向に兵器の開発をせずゲームに興じる6人組を見て、プロジェクトの成否に不安を口にする者もいました。しかし、リーダーの自信ありげな受け答えを見て、任せてみようと思い直し、みな、帰っていきました。


6ヶ月が経過しました。そこで初めて、新兵器の計画がリーダーからメンバーに明らかにされました。その開発には、通常では2年以上かかると、内容を聞いた誰もが思いました。そして、メンバーは半年間遊んでしまったことを後悔しまいました。そんなときも、リーダーは自信を持って言うのです。「大丈夫、我々ならできる」と。


それから半年が過ぎ、大統領に結果を発表する日がやってきました。発表の場で、ホワイトハウスの出席者は驚愕しました。6ヶ月間遊んでいた科学者6人組が、いままで世界で使われたことのない最新兵器の完成を報告していたのです。


その兵器が広島と長崎に落とされ、太平洋戦争が終わるのは、もうしばらくしてからです。もうお分かりですね。新兵器とは、核兵器のことです。


どうやって科学者たちは、本来2年間かかる研究を半年で研究を完了させたのでしょうか。秘密は、チームワークにあったとメンバーの一人は述懐しています。会議でお互いの意見が合わず、議論が紛糾することがあっても、科学者たちは、「○○さんの言うことだから、単なる思い付きではなく、何か深い考えがあってのことだろう」と考え、真摯な態度で、お互いがなぜその意見を持つようになったのかを傾聴し合ったといいます。


深い議論は、より完成度の高い研究を実現します。その深い議論を行うために、最初の6ヶ月があったのです。信頼感を醸成するための準備期間として、あえて何も研究に手をつけないのが、リーダーの狙いだったのです。


現地従業員がミスをしたときや、取引先が、約束を守らなかったときに苦しい言い訳をしてきたとき、頭ごなしに決め付けて叱責するのではなく、「この人がこのような行動をとらせたのは何か?」「この人の発言はどんな原則に従って行われているのか?」を、同じ目標を追い求めるものとして考えるべきであることを、この科学者たちのエピソードは語っています。



言い換えると、相手への最低限への敬意がなければ、いい仕事はできないということですね。もしも駐在員が、「自分が例外的に知的に優れた人間で、蒙昧な現地従業員を指揮する選ばれた者」というマインドセットでは、組織としても長期的な成長は実現しないと思います。


6人の科学者のエピソードは、キーボードを叩き壊そうと思ったら、真っ先に思い出します。




今日のインプット

■FP3級 1時間


FP3級は、問題集縦串(リスクマネジメント)。




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